G認証

草地がうみだす生物多様性
G認証は、ゴルフ場やスキー場において、特に草地などの二次的自然環境の保全に着目した評価を行う認証制度です。
 二次的自然環境とは、草地、雑木林、水田、ため池などを含む、里地里山と呼ばれる人の手が入ることで維持されている環境です。その中でも草地環境は、この100年で90%以上が失われ、現在は国土のわずか1%が残るのみ。このため、二次的自然環境には絶滅の危機にある生きものが数多く存在します。
 このような状況から、広大な草地を保有するゴルフ場やスキー場に、新たな可能性が見出されています。当認証では、施設の建設により自然環境が失われた状況については時系列でしっかりと整理・開示した上で、現状の管理内容や管理区域の見直しを通じて、在来野草や動物の生息環境の再生や生物多様性の回復につなげていくことを目指しています。
過去から現在までの
環境変化を整理
二次的自然環境の
管理方法を改善
生物多様性の
保全・再生に貢献

事業地を生物多様性回復の場へ

生物多様性の損失は、社会、経済において世界共通のリスクでであり、環境への対策は企業にとって欠かせないものとなりました。情報開示やその取り組み姿勢が企業の評価へ及ぼす影響は、今後さらに拡大することが予測されます。

本認証は、既存の草地環境の管理を見直すことで、生物多様性の回復という新たな価値を創出していきます。認証の取得は、運営者、利用者ともに、自然への理解を深めるとともに、生きものの生息環境がつくりだされ、それが持続可能な社会へとつながります。

認証要件は、管理方法等について段階ごとに、厳格な審査基準を設けています。生物多様性への貢献について、国内外のリゾートへ訪れる方、投資家、取引先、従業員などさまざまな方々へ、生物多様性の取り組みを示すことが可能です。

必須要件

建設前後の環境明示
現在までの環境タイプ(広葉樹林・針葉樹林・草地・畑地・水田・水面・人工面など)の分布を地図化し、面積割合の推移をグラフ化
現状の管理確認
草刈りの時期・頻度・刈り高・農薬使用状況のパターンごとに地図化
外来植物の抑制
認証後、外来種や定められた地域外からの植物(在来種含む)の不使用
生物多様性保全型の管理
除草剤の不使用かつ、生物多様性保全型の管理区域が全体の5〜10%
普及啓発
保全再生・管理計画の概要を施設内に掲示、取組み紹介のサインを場内に設置
上記全て満たした場合の評価ランク A3

選択要件

生物多様性保全型の管理
除草剤または農薬の不使用かつ、生物多様性保全型の管理区域の割合の設定
*管理区域の面積割合は段階的選択制
各種調査に応じた管理
優占種の状況を踏まえた管理
希少動植物等の生息状況を踏まえた管理
植物群落の状況を踏まえた管理
*ひとつ以上を段階的に選択
上記を満たした場合の評価ランク A2〜AAA*選択の内容により変動

良質な二次的自然環境を回復させる生物多様性保全型の管理

草刈り頻度を減らす区域の確保
草刈り時期の調整
農薬を使わない区域の確保
外来種の抑制
モニタリング
放棄林の手入れ
雪面硬化剤を使わない区域の確保

認証を取得した事業

筑波東急ゴルフクラブ
東急不動産株式会社、東急リゾーツ&ステイ株式会社
かつて、里山林として維持管理されてきた当該地域では、約半世紀前から始まったゴルフ場建設に伴って、約50haの二次林が伐採、または管理停止されました。現在は、ゴルフ場敷地全体の約4分の3が、農薬散布を含む集約的管理によって、芝地環境として維持されている状況にあります。
このような環境の変遷や現状の管理内容を整理した上で、約3.4haの区域(OBライン沿い)について、これまで行われてきた集約的な芝地管理や、放棄状態にあった樹林管理の方法を見直して、二次林や二次草地的な環境を意識した管理方法へ変更することが決定されました。当該地域から急速に失われつつある二次的環境を取り戻す第一歩として評価されるものです。
2024.3